オヤジの仕事①
昨日のブログで書いた故人への供養を兼ね、故人の下で行った懐かしい仕事に
ついて話してみたい。オヤジが従事した仕事は大きく分けると、自動化機器の
制御盤部分の設計と製作、コンピューターのプログラムによるシステムの開発
それと、チタン酸カリウムと言う素材を様々な合成樹脂に練り込んだ複合材料
の開発だった。今回は、そんな中から複合材料の開発について書いてみたい。
この仕事は、故人となった当時の大阪工場長が役員会議から持ち帰った仕事だ。
当時、既にアスベストの代替品としてチタン酸カリのウィスカーは商品化され
ていた。ウィスカーとはネコの髭を意味する言葉で、見た目は白い粉末状だが
顕微鏡で見ると繊維状になった素材だ。アスペクト比が高いニューセラミック
は、面白い特性を持つモノの、価格が高く、容易にアスベストの替わりは出来
ない。正直その用途開発には苦労していた。そこで、樹脂との複合材料にして
川下作戦を展開する事になったのだが、当時はまだ海のモノとも山のモノとも
判らず、徳島・鳴門の両工場ともに生産の引き受けを拒んだ。そんな背景の中
こんな仕事、大阪工場しか出来んやろ、と言った男気から受けて来たのである。
急にやれ、と言われても混錬機など設備は何もない。奮闘はここから始まった。