こだわったモノ
先日のオーディオ機器について話しの続きをしてみたい。当時オーディオ機器
に関しては、信仰宗教の信者の如く、アンプは〇〇社製でスピーカーはXX社
製でないと、などとユーザーが全員音響評論家のように講釈を言い合ったモノ
だった。オヤジはそいつが嫌いで、人が何と言おうが自分が気に入ったモノが
欲しかった。確かにデザインだけで買ったモノもあり、何を選んだらよいのか
分からなかったチューナーなどは、音響好きの大阪の叔父などに教えて貰った
が、アンプとスピーカーだけは店頭で聴いて選んだ。当時は、ショップの広い
スペースに多くのスピーカーやアンプを並べ、同じ音楽をスイッチで切り替え
て聴けたので容易に比較が出来たものだった。オヤジの好みは今思うと固めの
高音域の音がお気に入りだった様だ。オヤジのこだわりはレコードプレイヤー
のピックアップにもあり、こちらも聴き比べてみるとどうしても国産メーカー
の物では満足せず、米国SHURE社のM44-7、などを買った記憶がある。
オヤジの耳が良かったと言う訳ではなく、やはり当時の国産品は輸入品に勝て
ない品質だったのかも知れない。またある意味、舶来品に対してのあこがれが
あったのも否定できない。いずれにしろ、人が何と言おうが自分の好みの音が
最高だ。最近では、どれも同じようなデジタル音に妥協せざるを得ない環境に
なったが、まだ秋葉原や日本橋には一部マニアの店も残る。真空管式のアンプ
など目が飛び出るほどの高額だが、好きな人は集まって来る。そんなこだわり
の趣味に没頭していたあの頃は、この後にやってくる耐乏生活を知る由も無か
った。いずれにしても、一時期に夢中になれるモノが有ったのは、幸せである。
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