アンプのゆとり
今日はオーディオについて、技術的な話しをしてみたい。オーディオの世界で
よく使われる単位に、アンプ装置の出力を表わすワット数がある。当然ながら
この数字が大きいほど大音量が出る訳だ。オヤジが持っていたオーディオ機器
などにも、実効出力55W+55Wなどと記されていた。これはステレオ式で
左右55Wずつ出力される事を表している。更には、70Wとか90Wなどと
謳っている機器も多いが、果たしてそんなにも大きな音が必要なのだろうか?
正直、家庭用のテレビやラジオなどは数ワット規格で、場合によれば1W以下
の機器も多い。実際ラジオで1Wの音を出すと「うるさい」と言われるだろう。
ところが、自宅で音楽を聴くだけだろうなのに、オーディオマニアは出力出力
と躍起になるのは何故だろう。それは「無歪増幅域」を求めているからである。
音楽などの信号を増幅すると、増幅度が上がれば上がるほど元の波形が歪んだ
り本来の音とは関係無い不必要なノイズまで増幅されてしまう。これは仕方が
ない事で「アンプ」の宿命だ。かつて真空管式アンプの時代は、この不都合が
比較的少なかった。従って、今もなおマニアに真空管アンプの人気が高いのは
この為である。メーカーは直線増幅に一番神経を使う事になるが、幸いアンプ
特性は、ボリウム目盛りが小さい低増幅の範囲では、歪やノイズが低いままで
元の音源を増幅できる特性が生れる。この範囲を普通に音楽などを聞く音量に
求めると、上限では不要だと思われるほど、音量には余裕を持っておくことが
必要になると言う訳だ。つまりエンジンのパワーにゆとりのある高級車と出力
一杯で走る軽自動車との差のようなものだ。やはり何事もゆとりが大切なのだ。
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