幻の甲子園
今年も間もなく全国高等学校野球選手権大会が阪神甲子園球場で始まる。
大会期間中に終戦記念日を迎えると言う事もあるが、それだけではなくこの時期が来ると
いつも「平和の有り難さ」と言う事を感じずにはいられない。
以前にもブログで書いた事があるが、この大会が戦争の為、記録上途絶えた時期がある。
朝日新聞の大会記録では昭和16年~昭和20年まで「戦争の為中止」と記されている。
しかし、実際昭和16年の大会は中止になったものの、翌昭和17年は激しさを増す戦争に
対し国民の戦意高揚を目的とし、再び開催されていた事はあまり知られていない。
何故なら、この大会の主催が朝日新聞社から当時の文部省に変更されていたからだ。
従って歴代の大会記録上からは削除されたこの大会は「幻の甲子園」と呼ばれている。
この幻の甲子園で優勝したのが「徳島商業」で、私の父はこの優勝メンバーの1人である。
私は子供の頃から優勝の話しを何度も聞かされたが、私には父の優勝が自慢であった。
当時の優勝投手が、その後私の母親の妹と結婚して、私の叔父であった事も嬉しかった。
その叔父も亡くなり、当時はレフトを守り俊足と言われた父も現在では85歳、今その自慢
であったハズの足が特に衰えを見せて来ているのが残念である。
優勝当時のメンバーも次々と亡くなり、最近とうとう父が最後の1人になったと聞いている。
その父が高校野球を見ながら時々口にする、「今の子は幸せやな~」と、言う言葉がいつ
も重たく感じる。 父も優勝メンバーも更には当時の全国の高校球児達が、この大会の後
バットを銃剣に、ボールを手榴弾に持ち替えて激化する各地の戦場に向かっている。
この事を思うたびに、今あたり前の様に野球に打ち込める世の中を改めて幸せだと感じて
感謝し、若くして戦場に散った戦没者に心から哀悼の意を捧げたいと素直に思える。
世の中の平和ボケしている若者諸君!この事を是非少しでも頭の片隅に置いて欲しい。
今度、この幻の甲子園の特集番組がNHKの総合テレビで放送される事になった。
日時は8月7日(土)午後8時からなので是非ご覧頂きたい。
また、幻の甲子園の対戦記録は下記リンクを参照下さい。
<1942年(昭17年) 文部省主催 全国中等学校野球大会 対戦結果>
コメント