阿波名物紹介⑤
<小男鹿(さおしか)と阿波ういろ>
今日は徳島の和菓子について書いてみたい。
徳島を代表する和菓子には「阿波ういろ」と「小男鹿」がある。
阿波ういろは、寛政年間に初めて砂糖キビから阿波三盆糖が出来た御祝いに、旧暦の
三月三日の節句に蒸菓子を造り、藩主を始め領民一同がこれを食したのが始まりだと
言われている。 以来200年余りの間、旧の節句には家ごとに「ういろ」を造って、花見
用の弁当箱(阿波の遊山箱)に入れる、と言う習慣が現在まで続いている。
さすがに、最近は家庭で「ういろ」を造るところは少なくなったが、徳島県人は大好きだ。
「ういろ」、と言えば名古屋が有名だが名古屋のういろと阿波ういろとは随分違う。
阿波ういろは、大納言小豆・餅粉・米粉・砂糖等が原料で、特に漉し餡がタップリ入って
いるのが特徴で、独特のモッチリとした食感と、小豆の深い味わいが、たまらない。
和三盆を使った蒸し菓子に「小男鹿」と言う銘菓がある。冨士屋さんと言う老舗和菓子
屋さんが造っている商品の1つであるが、徳島県民は知らない人がいない和菓子だ。
「阿波ういろ」と同じ小豆と、阿波和三盆糖に加え、山芋をふんだんに使って蒸してある
ので仕上がりは、鹿児島の「かるかん」の小豆入りバージョンと言った風合いである。
ほんのりとした小豆の風味と、山芋の食感が品の良い美味しさを醸し出す逸品である。
この「小男鹿」は前に秘密のケンミンショーでも紹介されたが1棹¥2000もする高価な
和菓子なので、徳島県民は、コレと言った時に限定の「お使いモノ」として利用する。
従って家庭用のお菓子としてはあまり口に入らないので、徳島県民の中には「小男鹿」
の名前は知っていても、味を知らない人が多いと言う面白い逸話があるほどだ。
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