石取り闘病記③
私の初めての入院生活が始まった。
今までお見舞いで病室を訪れる事はあったが、自分が病室のベッドに寝る事になるとは
正直思っても見なかった事である。
入院など経験しないに越した事は無いが、入院したからには充実した入院生活を送って
やろうなどと考える余裕が、まだこの時にはあった様な気がする。
実際、入院時にはお腹の痛みも無く診断結果も明らかになった事から少し安堵した自分
が、そこにあった。 こうなれば健常者と同じで、病室はホテルの部屋と大差は無かった。
記念に1枚などと思いながら、デジカメで病室内を撮影したりする余裕もあった。
しかし、すぐに自分は病気で入院したのだと言う事を思い知らされる事になる。
入院した翌々日に石の除去手術をする事が決まったが、入院から手術日の翌日までの
延べ4日間は完全絶食と言う指示が医師から下されたのである。
食事により総胆管が収縮し石が動くのを防止する為であるがこの間の栄養補給は点滴
だけになった。 しかもその量たるや半端ではない。
朝早くから始まり就寝前まで、数え切れないほどの樹脂容器がドンドン空になって行く。
本当に効くのかどうか知らないが、昔の会社で給料の源になった点滴も幾つかあった。
しかし、点滴ではお腹の足しにはならない、食べられる事の有り難さを痛感したのである。
段々と活力が無くなって、本当の病人の姿になって行く自分がそこにあった。
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