かの国の安全性
最後のテーマは中国の安全性についてだ。オヤジが中国出張に出掛けるように
なる際、当時の専務から「経費の節約は大切であるが、身の安全にお金を節約
しないように」と言われた。この意味は、出張を繰り返すたびに解って行く事
になるが、今思うと実に有り難い言葉だった様に思う。オヤジ達が一番安全性
を必要とする場所、それは滞在期間を過ごすホテルだ。最近では中国も急速に
発展し、国際観光ホテルなども充実して来たが、2000年当時は都市部でも
有名なホテルは限られていた。いわんやオヤジ達が走り回る地方都市や田舎町
には、ホテルと呼べる施設さえ存在しない場所も多かった。そういった場所は
出来るだけ避ける様に、長い時間を掛けて移動し、ホテルのある比較的大きな
街で宿泊するように心掛けていたが、いつもうまく行く事ばかりではなかった。
真冬なのにお湯が出なかったり、水洗トイレは言い訳で、水を流したら汚水が
溢れ出て来る様なホテルも有った。無料のミネラルウォーターは、蓋が開いて
いたり、蚊に悩まされて眠れなかったホテルもあった。電気が点かないなどと
言うのはザラで、球替えを要求して来た時のチップをあてにして故意に切って
ある場合が多い。何よりも一番困ったのは、メイドが勝手に部屋に入って来る
事だった。中に人が居ようが居まいが、マスターキーで開けて入って来るのだ。
在室を確認してからなどと言うのは稀で、オヤジに気付くとビックリした様に
点検ですと言ってチョコレートを置いて出て行く。不在の時など、何をするか
判らないので物騒だ。従って貴重品は絶対に身体から離せなかった。幸いにも
盗難には遭わなかったが、大きなホテルではグッスリと眠れたことを想い出す。
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