飛行機の窓と小さな穴
皆さんは飛行機の窓に2つの小さな穴が開いているのをご存じだろうか?
窓側の席に座るとよく判るが、3層構造になっている透明な樹脂製窓の真ん中部分の板の
下部に直径で1.5mmほどの小さな穴が開けられている。
また太陽が眩しい時に降ろす遮光板の下の部分が接触する、窓枠の溝部分にも窓ガラス
の穴より少し大き目の直径3mm弱の穴が見られる。
穴はどの座席の窓も、みんな同じ様に開けられている。
これらの穴は決して窓ガラスを取り付ける際の工事ミスによって開けられたモノでは無い。
ご存じの様に航空機はエンルートでは1万m前後の高いところを飛行する。
この時の外気温は一般的にはマイナス40℃~50℃ぐらいの低温になっている。
一方、機内は快適な温度に保たれているので、当然普通の場合窓ガラスはこの温度差に
よって強烈に曇ってしまう事になる。
実は、窓に開いた2つの小さな穴は窓ガラスの曇りを防ぐ重要な仕組みになっているのだ。
航空機は飛行中の上昇、下降に伴って変化する気圧による人体への影響を緩和させる為
に、機体内部の気圧を調整している。 通常、風船の様に内部の気圧を外部よりも高くして
飛行する。 この時、空気の流れは窓枠の溝の部分に開けられた、少し大きめの穴から窓
ガラスの中央の板に開いた穴を通って外気と接している一番外側の窓ガラスへと流れる。
この空気の流れが、温度差によって発生する曇りを防止する仕組みになっている。
小さな穴ではあるが、その働きは航空機の大きな役目を担っている訳である。