原子炉時限爆弾
先日オヤジが紹介した、広瀬隆氏著書の「原子炉時限爆弾」と言う本について
福井の大先輩からコメントを頂戴した。博学の大先輩が、わざわざ取り寄せて
まで読破頂いたとの事で感激している。しかしながら感想についてはご自身の
これまでの企業人生の歩みに?マークをつけてしまうほど失望された、と言う。
本に書かれた様な仕事に直接従事しなかった会社人にまで「失望」という現実
を突きつける責任は極めて大きい。本の内容を簡単に紹介すると「完全」だと
されて来た原発の安全性が「想定外」と言う現実の前に「原子爆弾」に変わる
という事だ。しかもこの本を書いたのは、東日本大震災が起こる前であるため
筆者の的を射た予知がうかがい知れる。実際、現在の福島原発は全く人が作業
をする事が出来ない。鉛の作業服でもない限り、原子炉の後始末作業イコール
死である。半減期が億年単位である様なウランやプルトニウムの核燃料を使用
した場合、こうなる事は誰もが簡単に予測する事は出来たハズである。しかし
ながら安定した電力供給という大義名分と、国や電力会社、特定企業の利権が
想定外、と言う三文字を消し去ったために起こった現実を忘れてはいけない。
筆者は、今後発生する確率が高い東南海地震による浜岡原発への影響や、複数
の原発や高速増殖炉「もんじゅ」を抱えている福井県、更には青森県六ケ所村
などにも同じ様な懸念を持ち警鐘を鳴らす。最後に原発は不要ながらも、即刻
運転を止めろと求めないようにしたい、とも書いている。国民すべてが関心を
持って着実に一歩を進めて欲しいからだそうだ。つまり核戦争にイエスノーを
唱えるのと同じぐらい重要な選択であると言う事だろう。ここからはオヤジの
私見になるが、一言で言えば、完全にコントロール出来ない毒は、いくら良薬
になっても使用すべきではない、と言う事だ。矛・盾と同様に「想定外」と言
う言葉がある以上「完璧」や「完全」と言う言葉は要らないのかも知れない。